連載 Vol.15 自由自在にドレスアップできる1枚が 永く愛せるパートナーになりそう

連載 Vol.15 自由自在に着回しできる1枚が永く愛せるパートナーになりそう

改まった場でも、カジュアルな場でも着こなしの幅が広く、
周りに対する礼儀や、季節感を含め、
洒落を効かせた遊びができて知れば知るほど虜になる着物の魅力。
まずは自分にピッタリの1枚に出会い、この先ずっと付き合っていきたいです。

石井さんが秋月さんと選んだ1枚 ドレスアップもできて着回しも効く紐柄の付け下げ

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付け下げ¥330,000
(はんなり 銀座店)

自分の好きなペールカラーなら、お洋服感覚で着られそう!と石井さんが秋月先生と選んだのがこちらの付け下げ。Vol.13でも学びましたが、付け下げは胸、肩、袖、裾に模様が染められています。(縫い目でつながるものもあれば、縫い目にかからないように染められているものもあり、華やかさはさまざまです)こちらの付け下げなら、パーティーやお茶会から正式な場まで幅広く着回せます。年齢を問わず、大人の女性に似合うピンクの地色にうっすらと浮かび上がる紐の柄は、縁を結ぶという意味のある吉祥柄。特にこの着物は、柄が縦に流れるように入っているので着姿をスッキリ美しく見せてくれます。夏を除いた10~5月の袷の時期を通じて着られるので、着物初心者の最初の1枚としてもピッタリです。

「帯」と「小物」を変えて印象チェンジ 1枚の着物をシーン別に着回し

帯や小物で着こなしの格を変え、
印象まで変えることができるのは着物の醍醐味です。
今回は1枚の着物をお茶会に足を運んだり、パーティーに出席したり、
旅先でも着物を楽しんだり、3つのシーンに合わせて着回しました。
生活に着物を着るシーンが増えれば、「素敵ですね」と声をかけられたり、
着物をきっかけに会話が弾んだりとコミュニケーションも広がります。

Scene1

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おもてなしの心が学べるお茶会へ

格式と品の良さを両立する
「白」アイテムを効果的に

ご招待を受けたお茶会での装いは場に合った格式を備えつつ、控え目な品の良さが求められます。そこで、無地感覚(流水地紋)の清潔感のある白の袋帯で正装感を演出。流水柄は季節の縛りなく着られて、永遠を意味する吉祥文様の1つでご縁をつなぐ意味を持った紐柄の着物との相性も良いです。帯揚げ、帯締めは着物とトーンを合わせ、茶席では半襟は必ず白を。襟元の白がハイライトのように顔色を明るく見せ、キリッとした印象にまとめてくれます。師や目上の方と会う場に礼を尽くすことができるクラシックな着こなしです。

ねん金錦の袋帯 432,000円(きもの 円居)帯揚げ 8,640円、帯締め 10,800円、
バッグ 51,840円(すべて京都一加 東銀座店)

miho’s comment

ベースとなる1枚をお洋服感覚で着られるピンクにしたので、ワンピースのような感覚でまずはワントーンの着こなしに挑戦。顔映りのよい白い半襟が全体を締めてくれて、色は分量ではなく効かせることが大切と実感しました。どこに行っても失礼のない着こなしを知っておけばいざという時のお出かけも安心です。

Scene2

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コスメブランドの
レセプションパーティーに出席

クラス感と艶やかさを併せ持つ、
亀甲文様の帯を投入

比較的フォーマル度が高いパーティーでの着こなしには、格とともに華やぎも必要です。そこで今回は、晴れの場にもピッタリの吉祥文様の1つ、重ね亀甲文様の袋帯でクラシカルな格調高さとモダンな華やかさを合わせ持つ洗練された着こなしに仕上げてみました。帯のシャープな印象の幾何学柄は長寿吉兆の象徴である亀の甲羅を模しており、鮮やかなブルーグリーンが洋の場にも似合う艶やかさを演出してくれます。

佐賀錦袋帯 260,000円、帯揚げ 14,304円、三分紐 5,832円、草履 17,604円(すべてはんなり銀座店)
帯留 71,604円(銀座かなめ屋)クラッチバッグ 621,000円(コンテス/アクリスジャパン コンテス事業部)

miho’s comment

ワンピースではパーティシーンで着回しに苦労することもありましたが、こうして帯を華やかにするだけで、別の顔になってしまうという着物の凄さを感じました。パーティーの主役に礼を失せず、慎ましさと華やかさを帯や小物で微調整できるのは、組み合わせ次第で何通りにも着回せる着物の楽しさを感じる部分ですね。

Scene3

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京都旅行で懐石料理店へ

こなれた色柄をアクセント使いして、
カジュアルダウン

旅先で楽しむ着物なら、柄や差し色を楽しむカジュアルな着こなしもオススメです。吉祥文様の1つ、宝物のモチーフを集めた宝尽くし柄の袋帯も、金銀を使わず灰桜色の地に可愛らしく描いたこんな染め帯なら、堅苦しくなく柔らかい印象に。帯揚げの小さな赤で着こなしにアクセントを加え、桜モチーフの刺繍が施された半襟で満開の季節を待ちわびる季節感を表現。大人の遊び心のある、落ち着いたこなれ感を引き出してくれます。

袋帯 241,920円、帯揚げ 18,360円、帯締め 10,800円(すべて京都一加 東銀座店)バッグ 550,800円
(コンテス/アクリスジャパン コンテス事業部)刺繍半衿 12,960円、草履 32,184円(ともに れん/きもの 円居)

miho’s comment

可愛さのある宝尽くしの柄にはとても惹かれるものがありました。桜モチーフの半襟は、着物の印象を変える役割だけでなく、桜を待ち望む気持ちや、襟から一枚こぼれた花びらを帯留に……といった感じで物語を作ることもできるということを聞いて、和装の奥ゆかしさを改めて感じる組み合わせだと思いました。

撮影/平井敬治<人物>、石澤義人<静物> ヘア/SATOMI(cheka.)
スタイリスト/秋月洋子 取材・文/高橋奈央 デザイン/瀬尾侑平

*記事内の商品金額はすべて税込みです。(2019年2月現在)
<商品のお問合わせ先> アクリスジャパン コンテス事業部0120‐801‐922きもの 円居☎03-5623-9030、
京都一加 東銀座店☎03-6278-7813、銀座かなめ屋☎03-3571-1715、はんなり 銀座店☎03-5537-0031

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