【管理栄養士が解説】美しい人が飲んでいると話題の「オーツミルク」が健康にいい理由
牛乳に代わる、第三のミルクと呼ばれている「オーツミルク」をご存知でしょうか。同じ植物性のミルクとしては、「豆乳」や「アーモンドミルク」などが広く知られていますが、その中でもオーツミルクは、くせがなく美味しいと話題なんです。美味しい上に、体にいい成分も豊富といいことづくめのオーツミルクとは、一体どのようなミルクなのか、管理栄養士の土肥愛子さんにお話を伺いました。
お話を伺ったのは……
管理栄養士・フードスタイリスト 土肥愛子さん
管理栄養士の資格を持ち、雑誌やweb・商品広告の記事での栄養監修やコメント提供、ジュニアスポーツチームへの栄養講座を行っている。
フードスタイリストとしては、雑誌・書籍・広告などの撮影を中心に活動。うつわ検定®ホームユースマイスター、テーブルウェアスタイリスト®、
ナチュラルフードコーディネーターの資格も持ち、レシピ製作から、テーブルスタイリングなどの食空間の演出まで、幅広く「食」の仕事に携わる。
食のサービスプロダクトを企画・運営する「icoeat」を主宰。
Instagram:@aicoco0202
オーツミルクとは?
オートミルクとは、穀物の一種であるオーツ麦からつくられたミルクのこと。オーツ麦は穂の形が燕に似ていることから、別名燕麦(えんばく)とも呼ばれており、寒さに強い穀物。寒冷な気候の国で育てられており、日本ではまだあまりなじみのない穀物ですが、ロシアや欧米などでは多く栽培されています。
オーツミルクは植物性のミルク
健康志向や、環境問題への関心の高まりから、動物由来のミルクの「牛乳」に代わる、さまざまな植物由来のミルクがつくられるようになりました。その植物由来のミルクの中でも「豆乳」に次ぐ「第三のミルク」として近年、注目されているのがオーツミルクです。
オーツ麦を使用した食品として日本でよく知られているものに、オートミールが挙げられます。もみ殻を取り除いたオーツ麦を蒸してからひきわり、ローラーで伸ばしてつくられた「ロールドオーツ」、そのロールドオーツを粉砕したもの、またロールドオーツに水を加えて加熱し、再度乾燥させたものの3種類のオートミールが、日本では多く販売されています。
同じオーツ麦でつくるオーツミルクですが、もみ殻を取り除いたオーツ麦を蒸さずに、まず水分を加えます。温水で攪拌し、できた液体を加工するとミルクが出来上がります。
つくり方は異なりますが、オートミール同様、オーツ麦そのものの栄養や美味しさがぎゅっと詰まったミルクです。
グルテンフリーでアレルギーリスクが低い
オーツ麦は、同じ穀物の小麦や大麦、ライ麦などとは異なり、グルテンを含みません。そのオーツ麦を使用したオートミルクもグルテンフリーの食品です。
グルテンとは、たんぱく質の一種であるグリアジンとグルテニンによってつくられる成分のこと。グルテンがつくられることで、もちもちした弾力と粘りが生まれて、美味しさが増しますが、同時にアレルギーといった炎症を引き起こす原因になり、そのようなアレルギーを持つ人は穀類を控える必要があります。けれども、グルテンフリーのオーツ麦を使用したオーツミルクであれば、アレルギーの発症リスクを低く抑えることができるので、口にすることができます。
グルテンはその美味しさから、食べ過ぎてしまうような中毒性の高いものと言われています。ときにはグルテンフリーのオーツミルクを取り入れ、グルテンの摂取を休むことで、健康の維持にもつながります。
そのほか、牛乳に含まれるたんぱく質の8割を占める「カゼイン」に反応して下痢を引き起こしてしまう乳糖不耐症の人や、牛乳アレルギーの人でも、牛乳の代替品としても取り入れやすいオーツミルクであれば、安心して飲むことができます。
ヴィーガンやベジタリアンにおススメ
植物由来の原材料でつくられているオーツミルクは、肉や魚などの植物性食品を摂らず、穀物や豆類、野菜などの植物性食品を摂る「ベジタリアン(菜食主義者)」の人はもちろん、卵や乳製品、はちみつを含めた動物性食品を摂らない「ヴィーガン(完全菜食主義者)」の人も問題なく飲むことができます。
オーツミルクは環境にやさしい
環境意識への高まりから、牛乳は生産するときの環境負荷の大きさが問題になっています。最も問題視されているのが、乳牛のゲップと排せつに含まれる、二酸化炭素の30倍とも言われる強力な温室効果があるメタンガス。
また、大量の水と広大な土地を必要とすること、乳牛の排泄物による土壌や水質汚染など、牛乳は生産過程で、環境への悪影響を及ぼしています。
対して、植物性ミルクであるオーツミルクは、生産過程で使用する土地や水量、温室効果ガスの排出量も少ないため、環境にもやさしいミルクと言えます。
オーツミルクが健康にいい理由
原料のオーツ麦は、穀物の中でも栄養価に富んだ食品。特に食物繊維の量は精白米や玄米と比べ、とびぬけて多くなっています。オーツミルクは、そのようなオーツ麦の栄養をそのまま摂れる、健康維持に役立つミルクです。
牛乳、豆乳、アーモンドミルクと比べた栄養価は?
動物性ミルクの牛乳、植物性ミルクとして知られている豆乳、アーモンドミルクとオーツミルクを比較すると、どのような栄養価にすぐれているのかを知ることができます。
糖質量は牛乳とほぼ同じですが、カロリーは牛乳の約半分で、アーモンドミルクよりは多く、豆乳よりも少なめ。代表的な4つミルクの中でも、カロリーは控えめです。
また、脂質量は4つのミルクの中で最も少なく、このオーツミルクに含まれる脂質のほとんどは「不飽和脂肪酸」と呼ばれる、体内で作ることのできない必須脂肪酸です。脂質というと、血液がドロドロになる原因になるといった悪いイメージがありますが、この不飽和脂肪酸は別物。主に魚や植物に含まれ、悪玉コレステロールを減少させる働きがあり、生活習慣病の予防効果が期待されている、体にうれしい油脂なんです。そのため、カロリーや脂質の質に気をつけている人にもやさしいミルクと言えます。
そのほか、たんぱく質量は牛乳が最も多く、オーツミルクは3つの植物性ミルクの中で2番目に多くなっています。中でも突出して多いのが、牛乳にはまったく含まれていない食物繊維。オーツミルクには、アーモンドミルクと比べると約2倍、豆乳に至っては比較すると約4倍もの量が含まれています。
豊富な食物繊維で腸活を促進
さつまいも、きのこ、キウイなどが多いことで有名な食物繊維。オーツミルクには、水に溶けやすい水溶性食物繊維の「βグルカン」が多く含まれています。βグルカンは、腸内で善玉菌のエサとなって腸の動きを活発にしてくれるため、腸活の促進に役立ちます。
また、このβグルカンには糖と結合して糖質の吸収を抑え、血糖値の上昇をおだやかにするほか、コレステロールの吸収を抑制して、排出を促すことでコレステロール値を抑える効果もあります。さらに満腹感を高めてくれたり、風邪予防といった免疫力アップの効果も期待できます。
1杯で1日に必要な鉄分量の15%が摂れる
鉄分は、オーツミルク100mlあたりに0.4mg含まれています。そのため、1日にコップ1杯、約200mlのオーツミルクを飲むことで、30~49歳女性(月経なし)の推定平均必要量(※厚生労働省が定める日本人の食事摂取基準2020年版による)の約15%を摂ることができます。
このオーツミルクに含まれている鉄は、動物性の食品に含まれる「ヘム鉄」とは異なる「非ヘム鉄」であり、ビタミンCを含む食材といっしょに摂ることで、より吸収率が高まります。
また、オーツ麦由来のポリフェノールである「アベナンスラミド」も含まれています。皮膚の炎症やかゆみを抑える効果があり、美肌効果も期待できるうれしい成分。そのほか、オーツミルク自体にコレステロールが含まれていないため、コレステロール値を気にしている人にもオススメのミルクです。
砂糖不使用なのに自然な甘さ、美味しく続けられる
オーツ麦自体の甘みが豊富で、砂糖不使用でも自然な甘さが感じられます。最も大きな特徴は、クセがなく飲みやすい点。さまざまな食材とも相性がよく、コーヒー、ココア、紅茶、チャイ、プロテインといった、豆乳やアーモンドミルクとは合わなかったものも、くせのないオーツミルクであれば一緒に美味しく飲むことができます。
また、植物性のミルクでありながら、豆乳などにはない、牛乳に近いとろみのあるテクスチャーとコクがあります。そのままで飲んでも美味しいだけでなく、穀類ベースのミルクなので、料理との相性もよくアレンジもしやすい使い勝手も抜群なミルクです。
kokode beautyオススメオーツミルク「AVE-NATUR」
美味しくて栄養価も高い、いいことづくめのオーツミルク。kokode Beautyのオススメは、スウェーデン発のオーツミルク「AVE-NATUR」です。冷涼な気候で害虫が少ないフィンランドで育てられたオーツ麦を使用しており、⽢みや⾹りがぎゅっと凝縮されています。
AVE-NATURのオーツ麦の栽培地と加工工場は近隣にあり、かつ1拠点で製造しています。複数の工場で大量製造しているもののように、製造環境により味のムラが出る可能性もないので、安定した美味しさを楽しむことができます。
また、オーツ麦特有のザラつきを抑え、飲みやすく加工しているので、舌触りのなめらかさも秀逸。オーツ麦にあまりなじみのない日本人の舌に合うように、「美味しさ」にこだわって開発されたオーツミルクで万人が飲みやすい! 品質にもこだわっており、安全面ではFSSC22000に準拠。環境面ではFSC認証を取得しているミルクです。
絶品「AVE-NATUR」は、ラテアート世界一の山口淳一さんがアドバイザーとなり開発
AVE-NATUR開発のアドバイザーをを務めたのは、2014年にラテアート世界チャンピオンに輝き、2019年、京都に「here」をオープンした山口淳一さん。生豆選定、焙煎、抽出のすべてにこだわり、すべての人が美味しく味わえるコーヒーの味を追求する山口さんが、他にはない滑らかな舌触りとラテアートのしやすさを追求した「絶品」オーツミルクです。
「AVE-NATUREに使用しているフィンランドのゴールデンオーツは、甘みが強くコーヒー豆と最高の相性。自然の優しい甘みは、一度口にするとクセになるはずです。ご自宅では中煎りから深煎りのコーヒー豆とのマッチングがオススメです。またオーツミルクはサラっとしたものが多く、繊細なラテアートには不向きなんです。そこでAVE-NATUREの開発ではラテアートに適した質感を求めて、何度も試作を繰り返しました。こだわりのつまったAVE-NATUREを使ったラテを私がオーナーを務めるhere kyotoで味わってほしいです。」(山口さん)
撮影をしたのは
here Kyoto Kiyomizu
京都府京都市東山区清水2-226 https://www.instagram.com/here.kyoto_kiyomizu/
次回は、クセのない美味しさを生かし、コーヒーだけでなく、さまざまな料理にも使えるAVE-NATURを活用したレシピをご紹介します。
撮影/渋谷美鈴(京都分)、中林香(静物分) イラスト/Kaeko 取材・文/西村絵津子、八尾美奈子(京都分) 編集/倉石園子