夫のカラダをニオイでサーチ！

普段、何気なく見ている夫の様子。いつもと違う……と感じたら要注意! 自分では気づけないからこそ、近くにいる妻からの チェックで一大事を免れることも。あなたの夫は独特なニオイしていない？嫌な咳き込みをしていませんか？

＼教えてくれたのは……／

総合内科専門医 おおたわ史絵先生
東京女子医科大学卒業後、大学病院、救急救 命センター、開業医を経て現在に至る。メデ ィア出演、著書多数。

一緒に年齢を重ねるのだから お互いを見つめることが大切
自分では気づきにくいニオイの変化や顔のむくみ、そして咳き込み。朝、パートナーの調子が悪そうな様子はすぐそばにいる妻だから気づくもの。人間だって動物。ニオイはあるものだけれど、知らないうちに周囲の人々を不快にさせていることもあります。あるいは、重大な病気が隠されていることさえあるのです。健康診断を毎年、必ず受けていればそう心配することもないかもしれません。 ですが、万一のことを考えて、少しでも気になる変化があったら病院を 受診することも必要。男性は無頓着な人が多いので、知らない間に衰えていく自分のカラダの変化に気づかないこともあります。健康第一だからこそ、朝の夫チェックを日課に、 心身の健康をマネージメントしてあげませんか?

｜CHECK｜
□朝からずっと顔がむくみ続けている
朝はむくみが顔に出ることが多く、夕方は足へとむくむ場所は変化。靴が履けない、一日2キロ以上の変動がある場合は腎障害の可能性も。

□口臭が強くなってきている
免疫が下がることで起こることもある口臭。糖尿病は独特のニオイに、 肝硬変はアンモニア臭、口腔内癌や胃癌は腐敗臭がします。

□起きがけにオエッとなる咳き込みがある
喫煙が原因のひとつに考えられます。また、苦い、酸っぱいなどと感じる咳き込みは、逆流性食道炎の可能性もあります。

□後頭部から酸っぱい、生臭いニオイがする
30代~5 0代の男性で、使い古した油のような酸っぱいニオイがする場合は、ミドル脂臭と呼ばれるものが 出ていると思われます。後頭部、頭頂部、うなじを中心に発生します。 汗の中の乳酸が皮膚上の常在細菌に 代謝・分解されることが原因。

□カラダから枯れ草のようなニオイ
皮脂成分が酸化されて発生し、枯草のようなニオイが特徴の加齢臭。50 代半ばから本格的に発生します。胸や背中などの体幹部を中心に出ます。年齢を重ねるごとに、皮脂に含まれる不飽和脂肪酸「パルミトレイン酸」 が増加し酸化することでニオイに。

いつもと違ったニオイは要注意! 黄色信号のサインです！
生活習慣病がニオイの原因かも。ニオイの予防は皮膚の清潔を保つこと、適度な運動を行うこと、規則的な生活と正しい食生活。アルコールやたばこなどのし好品を過多に摂取 することは、病気を引き起こしかねません。特に、消臭作用のある食材を積極的に摂取することも予防のひとつ。アルカリ性食品、 抗酸化食品であるビタミン C や E、ポリフェノール、そして腸内 環境を整える発酵・乳酸食品を摂取することがニオイを抑えると考えられます。

▶︎酸っぱいニオイ・生臭いニオイがあったら……
これらのニオイはミドル脂臭、加齢臭といった体臭。不健康な老化があるからニオイを発すると考えられるので す。やはり健康な老化が望ましく、生活習慣を見直すことが大切。また、入浴やシャワーで皮膚の清潔を保ちま しょう。

▶︎強い口臭・アンモニア臭・腐敗臭があったら……
様々な種類の口臭がありますが、中には深刻な全身疾患に関連するものも考えられます。糖尿病や肝硬変、胃癌や口腔内癌が隠れていることもあるので注意が必要。規則的な生活、アルコールやたばこをコントロールすることを心がけて。

ニオイをケアする食材

寝起きのむくみ、 夜まで続いたら要注意!
軽いむくみは塩分の過剰摂取が原因であることがほとんど。塩分を摂取すると、カラダが水分を貯める傾向にあるため、塩分を調整することで改善しやすくなるのです。あるいは、カリウムの多い生野菜ジュースや青汁を飲むことでむくみが軽減されることも。朝から夜まで一日に 2 キロ以上、体重の変動がある場合や、むくみのために足が肥大し、夕方に靴が履けなくなるなどの症状が出たら、すぐに受診を。

起きがけの咳き込みは“たばこ”だけが 原因ではありません
朝の起きがけに咳き込むのは、寝ている間に気道の分泌物が気道に張り付き、起き上がった瞬間に反応するからと考えられます。ほとんど喫煙が原因ですが、アレルギーや喘息が原因のこともあります。咳き込みと胸やけを伴う逆流性食道炎の場合、胃の中を空にして寝たほうがいいので、10 時間以上胃に残ると言われるバターやクリームなど、動物性脂肪の食品を夕飯に食べないといった工夫が効果的です。3 週間以上の咳は結核の疑いも。

HERS 2019年５月号「朝の主人のカラダ、気になります」
撮影/坂根綾子 取材/金沢由紀子