都市伝説?真実?「更年期」の俗説を検証

40代、そろそろ「更年期」が気になって・・・という人も多いのでは。40歳へのカウントダウンが始まった私もその1人です。誰しも迎えるこの時期をなるべく快適に過ごして、次なるステージにソフトランディングにはどうすればよいか、メノポーズ(更年期)カウンセラーでもある筆者と考えていきましょう。

更年期イメージ写真2

さて、更年期には誤解も多いよう。そのベスト3がこれ。

①産後に無理をすると更年期症状が重くなる

②更年期は誰しもつらくてどうしようもない状況になる

③時期が過ぎるのを待つしかない

 

そもそも更年期とは、いつでしょう? 簡単にいうと閉経の前後5年間。日本人女性の平均閉経年齢は50歳なので、およそ45歳から55歳が「更年期」です。つまりは妊娠出産できる「性成熟期」から、妊娠出産できなくなる「高齢期」へ移行する期間で、個人差はありますが、誰にも訪れます。

この期間に起こるいろいろな不定愁訴が「更年期症状」。ほてりやのぼせ、動悸、腰痛や関節通、頭痛やめまいや耳鳴りといった身体的なものから、不安や不眠、情緒不安定、意欲低下といった精神的なものまで、その症状は200〜300種類ともいわれます。私たちを漠たる不安に包んでいるのはまさに、どんな不調がどの程度押し寄せるかわからないことではないでしょうか。

これらの更年期症状は、卵巣機能が衰えて女性ホルモンが分泌できなくなるために起こります。脳が「女性ホルモンを出せ」と司令を出しても、卵巣がそれに応えて分泌することができなくなるのです。脳はますます司令を出しますが、女性ホルモンは一向に分泌されず、体と脳が不調和の状態に。そのためあちこちに症状が現れるわけです。

更年期の基本的なことはこのぐらいにして、冒頭の誤解ベスト3を検証します!

誤解①産後に無理をすると更年期症状が重くなる。

出産経験者なら1度は言われたことがあるのではないでしょうか。結論からいうと産後の過ごし方と更年期症状には、因果関係はありません。国際閉経期会議(こんな会議があるなんて驚きですよね!)によると、更年期症状の要因は大きく3つ。先に説明した卵巣機能の低下と、環境的な要因、そして気質的・体質的な要因。50歳前後は、子どもの進学や自立、親の介護や死、自分のキャリアや老後に向けての生活の変化などがどっと押し寄せる時期。そこに、もともと几帳面でちょっとしたことが気になったり、頭痛もちだったりという本人の気質や体質も絡み合って、症状が引き起こされます。つまり産後の過ごし方は関係ないのです。(もちろん無理をしないのに越した事はありませんが)

 

誤解②誰しもつらくてどうしようもない状況になる。

なんらかの更年期症状がある人は、更年期女性の7割。そのうち、日常生活に影響をきたすほど程度が重い人は3割ほど(「更年期障害」と呼びます)。つまり、更年期はすべての人に訪れますが更年期症状は全員にあるわけではなく、起こる不調や程度も個人差が非常に大きいのです。

 

誤解③時期が過ぎるのを待つしかない

確かに、時期が過ぎると症状がなくなる人がほとんどですが、10年もの期間を不安定なコンディションで過ごすのはつらいもの。しかも自分の更年期と子どもの思春期が重なる場合も多く、親子ゲンカも増えがちです。人生の質をよくする意味でも、セルフケアで改善できない場合は婦人科の受診をおすすめします。「更年期外来」「女性外来」を掲げるクリニックも増えましたし、ホルモン補充療法や心療カウンセリング、漢方など選択肢もひと世代前より格段に広がり、治療でラクになるケースも多くあります。

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いかがでしたか?更年期のあれこれは「なってみないとわからない」こともあり、未知ゆえの不安がつきまといます。でも正しい情報と知識があれば心の準備ができますよね。追って、セルフケアや治療法も紹介していければと思っています。人生のセカンドステージの出発点でもあるこの時期を、ぜひ前向きに迎えたいものですね。

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