医師に聞いた\夏休みを絶好のチャンスに/ママのあるある悩み、子どもへ【生理や性】の伝え方

ネットやSNSなどからアグレッシブな情報を得られて便利な反面、間違った情報を得てトラブルを起こす子ども達も増えている中で、子を持つパパママが気になっているのは

「子どもたちに“生理や性”について、いつ、どのように伝えるか」

ということ。

その答えを探しに、今回は美容ジャーナリスト鵜飼恭子さん主催のティーンビューティゼミと日本フェムテックマイスター協会が共催するイベント、第5回「ティーンの生理とフェムケア with ママの膣トレ・尿もれケア」に潜入してきました。

美容ジャーナリスト 鵜飼恭子さん
美容誌『MAQUIA』の編集者を経て、MBA修得。現在は、メディアでの活躍のほか、10代向けに正しい美容を伝えるイベント「TBZティーンビューティゼミ」を主催。日本フェムテックマイスター協会評議員も務め、生理・フェムケアの正しい知識の啓蒙も行なっている。現在は思春期の娘ふたりと格闘中。Instagram:@ukai_kyoko

【INDEX】

TBZ ティーンビューティゼミとは?

美容ジャーナリスト 鵜飼恭子さんが、ご自身の長女がSNSなどから得た間違ったケアをしているのを見て「正しい情報を早期に伝えたい!」と2023年に設立。

「NEXT! 今日がキレイだと未来も楽しい!」をコンセプトに、ゼミでは10代に正しい美容をシェアするイベントを開催したり、鵜飼さん自らセレクトした推しコスメをご紹介したりしています。

今後もたくさん情報が発信されますので、ぜひSNSをチェックしてみて!

Instagram:@teenbeautyzemi_japan

婦人科医が子どもに教える「赤ちゃんはどこからくる? 生理って何?」

白金高輪海老根ウィメンズクリニック 院長 海老根真由美先生
順天堂非常勤講師。周産期メンタルヘルス学会理事。産婦人科をはじめ、乳腺外科・内科・泌尿器科など複数の診療科を標榜し、女性のライフステージに合わせた診療を提供。不調を感じたときの「総合窓口」として多くの女性を支えている。

ティーンの体について講義してくださったのは、海老根真由美先生。まずは日本が抱えている人口推移の話から。厚生労働省が発表した2023年の人口動態統計によると、1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率は1.20で過去最低を更新したそう。そこで先生は子ども達にその現実を伝えました。

「今、だんだん生まれてくる赤ちゃんが少なくなってきて、人口が減っていっていますよね。その現実に向き合い、今、私たちができることは、赤ちゃんを守ってあげること、赤ちゃんやお母さんたちに優しくしてあげることが一番大事だと思うんです」と海老根先生は云います。

続いて、先生は子どもたちに、解りやすく“ニワトリの赤ちゃん”に例えて説明。

「ニワトリの赤ちゃんは卵から生まれるでしょ? その卵はママから生まれるよね。その卵は壊れやすい環境じゃなくて、守ってあげる環境から産まれるわけなんです。

人間も同じ。女性がその環境として大切にしなくちゃいけない場所ってどこかわかるかな? ピンと来ないかもしれないけれど、お腹の下の方にある子宮が一番大切にしなくちゃいけないところです。小学生になると5cmくらいになって、大人になると7〜10cmくらいの大きさになります。その中で卵を、赤ちゃんを育てるという仕組みになっています。」(海老根先生)

続いて、月経についても先生が子ども達に説明します。

「20歳くらいになると、この仕組みが変わってきて、そこから赤ちゃんが産まれてくるように変化していきます。その途中でね、小学生、中学生でその子宮がだんだん大きくなるわけなんです。その後にそこから血が出るようになるのが生理と言われるものです。どこから出てくるのかというと、おしっこが出る穴とお尻の穴の間に一番大事な穴があって、ここから血が出てきます。これが生理。

『こんなところから血が出るのは困るわ』と思うかもしれないけれど、その場所を毎月毎月きれいにして赤ちゃんがいつできてもいいように準備しています。その毎月子宮をきれいにしようと内側の膜が剥がれて出てくるのが生理というものです。

生理は、最初、間隔がバラバラだったり、血がちょっとしか出なかったり色々なことがあるんですが、18〜20歳になるまでに体が整ってきて、そのころまでには毎月1週間くらいそこから血が出てくるようになります。これはすごく大事な卵を守っている女の子の役割なんです。血が出てくるけれど、あんまり怖いことではなくて、体が普通に変わっていく状況なので不安にならなくて大丈夫ですよ」(海老根先生)

その後、卵がどこにあるのかをスライドを見ながら説明し、子どもから大人への体の変化を伝え、次は体づくりのお話へ……。

パパママに知ってほしい「20歳まで続けたい体づくり」

「女の子はよく『痩せていたい』と言いますが、大人になるには、よく寝ること・よく食べること・よく食事することが大切です。成長ホルモンは10時までに寝ないと出ません。骨も育つためにも、9〜10時に寝るのが理想的。そしてご飯は朝昼晩食べるようにしてほしいですね。

ちなみに勉強は朝がいいですよ!」(海老根先生)

一般社団法人 日本フェムテックマイスター®協会 理事 小平真実さん
中学生の時より身体は食事で出来ていると考え、生化学に興味を持つ。東京農業大学の応用生物化学科にて微生物学を専攻し、“菌”や“栄養”と身体の関係を学ぶ。「食事」×「フェムケア」で、女性特有のお悩みの解決を目指す“菌女史”。

次に、フェムケアの専門家でもある小平真実さんが登壇。女性の体や心に大きな影響を受けている2つのホルモンについて子どもたちへ説明したのち、小平さんも10代の体づくりの重要性を語ります。

「先ほど海老根先生もおっしゃっていましたが、やはり1日3食食べて、よく眠ることが大切です。睡眠が足りないと、骨が成長しないのですが、女性は40〜50代以降になってくると女性ホルモンに守られなくなってくるので、骨粗しょう症になりやすくなります。これは10代の頃の食事が大きく関係していて、カルシウム、マグネシウムなどがちゃんと取れているかが鍵に。そして運動も重要ですので、食事・睡眠・運動の3大柱を大切にしながら、元気に過ごしてください!」(小平さん)

海老根先生も今回のイベントで、カルシウム摂取を重要視していると実体験を元に話してくださいました。

「我が家には味噌汁の中に入っている煮干しを3匹食べないと席を立たせてもらえないというルールがありまして、その結果、骨密度は大人になっても128%を維持しています。骨粗しょう症は赤ちゃんから18~20歳までにいかにカルシウムを摂っておくかが大事ですので、皆さんも今からしっかり摂ってほしいなと思います」(海老根先生)

そのほかにも小平さんから、生理のお話や、2つの女性ホルモンによる心や体の揺らぎについて、生理用品について、図解を見たり実物を見たりしてお話を聞き、子どもたちは真剣な眼差し。

 

一般社団法人 日本フェムテックマイスター®協会とは?

生理や妊活、更年期など女性特有の悩みをテクノロジーで解決する『フェムテック』の振興を目指し、女性が活躍できる社会の創生に貢献する」ことを目的として創設された協会。
HP:https://femtech-meister.jp/work/

医師が質問に答えます! 痛み止め、低容量ピル、子どもへの性教育について

再び海老根先生が登壇し、先生がよく聞かれる質問や、今回のイベントで集まった質問についても教わりました。

|Question|生理の時に痛み止めは飲んでいいの?
「よく聞かれます。1日3回までなら飲んでOKですよ。ただ3回で全部効くというわけではなく、影響が少ないから飲んでもいいということ。実は痛み止めは2時間くらいしか効かないんです。痛み刺激は薬がなかなか効かないと言われていて、効くまで30分くらいかかります。なので痛くなる前から飲んでください。それでもコントロールできないほど痛みがあるなら、疾患の疑いがあるので婦人科に相談しましょう」(海老根先生)

|Question|修学旅行や試験と生理が重なりそう。低容量ピルを処方してもらえますか?
「『PMSです。ピルください』と言われて『はい、あげます』という感じにはなかなかなれない薬で、どういう理由で欲しいのか、ストレスはどう?体調は?ご両親はどう考えている?などがわからないとすぐ処方するのは難しいですね。子宮体がん、血栓症などのリスクが少しあるんです。ある女性が急病で運ばれた時にピルを飲んでいることが医師に伝わらず、致命的になってしまった例がありまして、処方は慎重にするようにしています。

けれど、修学旅行や試験などで生理を遅らせたいという気持ちもわかりますので、問題がなければ処方します。ただ、服用すると気持ち悪いなど副作用が出ることもありますので前もって試した方がいいかと思います」(海老根先生)

|Question|初潮を迎えていないような小さい子どもに生理や性の話をどう伝えたらいいですか?
「我が家は山のようにそういう本が転がっていたので、小学校1年生ぐらいから息子も娘も熟読しているという状況でした(笑)。家族に『あんな本を子どもに読ませてもいいの!?』と聞かれたこともありますが、看護師さんのイラストが書いてあるんでわかりやすい図なんです(笑)。これはもう止めてもしょうがないと思って。聞かれた時にきちんと説明もしました。
正しい知識が得られる“性”に関する本などをなんとなく家に転がしておくのもひとつ。そして聞かれた時にきちんと答えられるように準備しておくとこちらからアクションを起こさなくて良いかもしれませんね」(海老根先生)

その後もたくさんの質問に丁寧に応える海老根先生。「不安なことやわからないことは婦人科で質問していいんですよ」と先生。オンライン診療も行っていますので、ぜひ活用を!

白金高輪海老根ウィメンズクリニック
東京都港区高輪1-2-17 高輪梶ビル7F
Tel.03-5789-2590
HP: https://ebine-womens-clinic.com/
オンライン診療(LINEドクター):https://liff.line.me/1654910047-r8ona6WO/clinics/2453

まだ触れたことのない生理用品を見て触れる機会も。実際にどれぐらい吸収するかの実験やデリケートゾーン用のソープの初体験に子どもたちもワクワク♪

4問正解でもらえるデリケート専用ソープをかけて、子供たちは生理のマルバツクイズに挑戦! 「どっちかな?」と友達と相談しながら答えを出す可愛い姿も♡

骨盤底筋を鍛えるトレーニングチェア。「座るだけで鍛えられるのが魅力的♡」とママたちは順番にお試し。

最後はみんなで記念写真!

「子どもにもわかりやすくデリケートな部分について学べる機会はなかなかないので、もっともっと皆さんに伝わるといいなと思いました」

「今日は早く寝ます!PMSに悩まないために、妊娠・出産のために、20歳までに健康なからだをつくりたい。食事、睡眠、運動、そして正しい知識が必要だと学びました」

などの声がたくさん集まったそう。

ニキビケアから人気の韓国コスメ、ネイルまで。主催の鵜飼恭子さんが思春期の娘と更年期の母目線で選んだ愛すべきコスメたち。
これら11アイテムの豪華ギフトに、子どもたちは皆、笑顔に!

写真/公文一成(光文社)

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