連載 Vol.18 更新する香水は、いつの時代も 私を輝かせるベストパートナー的存在
日本とフランスの香り文化の違いを学んだ前回。
香水マニアな2人には香りの楽しみ方に共通点も。
自分が好きな香りを大切にしながら、同じ時間や空間を共有する人も
心地良く過ごしてもらえるヒントがたくさんありました。
キャビネットの香水の分だけ
“なりたい私”がいる
石井さん:前回は社長から香りの国、フランスについてお話いただいて、いろいろと知ることができて嬉しかったです。社長がどんな風に香りを楽しんでいらっしゃるのかも気になったのですが、今日の香水はどんなものを選んだのですか?
グレベール社長(以下、社長):香水を専用のキャビネットに収納しているのですが、数でいうと100種類以上あると思います。その中から、今日は石井さん含めて、初めてお会いする方が多かったのでニュートラルな香りをと思い「メゾン フランシス クルジャンのアクア ユニヴェルサリス」を選びました。強い印象を残すというより、どなたにも好印象を与え、心地よく感じる香りですね。
石井さん:男性も女性も好きな香りですよね。私の場合も普段はユニセックスに使える香りで、親しみやすいものを身についています。実は私も100本ぐらい入っている香水キャビネットを持っていて、そこから会う人や、予定に合わせて香水を選んでいます。ちなみに棚ごとに、ボトルの形や香りの系統で仕分けているんですが…。
社長:それはすごいですね!
石井さん:普段は手に取らないものもあるので、たまに棚卸をするようにしていてその時間も楽しみのひとつです。ボトルだけでもテンションがあがったり、若いころに流行った香りを嗅ぐとその当時を思い出したりしますね。この香りをつけていた時は「○○だったなぁ」なんて過去を振り返ってみたり(笑)。
社長:そういうのいいですよね。香りは自分のマインドを整えてくれ、人の印象も操作できると言われているので、相手や予定に合わせて選ぶというのは。とてもよいと思います。
石井さん:ありがとうございます。私も香りが印象に効くという話を聞いたことがあります。あるとき、道ですれ違った人からとても良い香りがして(笑)振り返ったら、大人の男性だったんです。その一瞬の出来事だけで、きっとセンスの良い素敵な方なんだろうなと思ってしまいました。
社長:香りは纏った時にその人のイメージと合っていると、魅力を高めてくれますよね。だからこそ、香りの力を味方につけてほしいなと思います。フランスでは、たとえば夜にパーティーがあれば着替えることもあるので、そのタイミングで香りを変えたり、平日と週末で香りを変えたりしています。洋服を選ぶように、香りもTPOによって選ぶ習慣がもっと日本にも根付くといいですね。
石井さん:私もそう思います。選ぶときのコツはありますか?
社長:どういう場なのかを考えるといいかもしれませんね。社交パーティーのような多くの人と交流する場なら、ある程度主張のある香りが存在感をアピールできると思います。けれど、初デートなら親しみやすさを感じさせる香りの方が、相手との距離が縮まるのではないでしょうか。
石井さん:なるほど!大人こそ、場に合わせて香りを変えるという使い方が身についていたら素敵ですよね。
社長:はい。ぜひその日の予定に合わせて香りを選んでみてほしいですね。石井さんはトークショーなど人前に立つことも多いと思うので、そういうときは主役である自分を引き立ててくれる普段より個性のある香りもいいと思いますよ。
石井さん:たしかにそうですね。サロンでお客様と接するときは身につけないですし、自分をアピールするような香りはあまり使ってこなかったです。こういう香りの使い方もコミュニケーションのひとつですよね。
社長:そう思います。日本でも香りを自己表現のひとつとしてもっともっと身近に楽しんでもらいたいなと思います。とはいえ難しく考える必要はなく、香りは心から好きだと思えるものを楽しむのが1番大切です(笑)。
特別な空間をつくる
香りのコーディネート
石井さん:自分で香りを楽しむ以外にも、たとえば男性とひとつの香水をペアでつけて、一緒にいるときに空間に広がる2人の香りが心地良く感じるといいですよね。
社長:はい。香りはつける人によって香り立ちも変わるものなので、そういう楽しみ方も素敵だと思います。
石井さん:男性は体臭を気にして使う人が多いというお話もありましたが、香りに興味がある方は素敵だなと思います。男性が私の好きな香りをつけてくれていると、寄り添ったときも自然と落ち着きますし。お母さんがつけていた香水が好きだったとお話されていた方もいて、子どものころから香りに触れているから上手に取り入れられるのかなと感じることもありました。
社長:そうですね。フランスでも母親がつけていた香水というのは、自分が好きな香りにも影響していると思いますよ。
石井さん:パートナーとお互いに好きな香りを見つけて、リンクコーディネートできるような、そういう楽しみ方がもっと浸透すると素敵だなと思います。あと、私は自宅などの空間の香りがとても好きですね。特にリビングは、その家に暮らす家族の様々な香りがミックスされていて他の家にはない唯一の香りがつくられている気がして。
社長:本当にそうなんです。自分の家の香りを「いい香り」と感じたり、安心できたりしますよね。前回もお話しましたが、フランスにはその家の香りがあります。キャンドルやルームフレグランスなどを使う家庭も多いのですが、もし同じ香りを使っていても、少しずつ香り立ちが変わるのは面白いなと思います。
大人はとっておきの香水を
更新していく
社長:最近、大人の女性を中心に人気なのが「メゾンフレグランス」です。厳選した香料を使っていて。より深く香りを楽しめますよ。
石井さん:「メゾンフレグランス」、私も好きです!昨年「パルル モア ドゥ パルファム」がデパートに並んだときはチェックしに行きましたよ。お気に入りの香りには「メゾン フランシス クルジャン ア ラ ローズ」もありますし、クリスタルメーカー「バカラ」とコラボした限定香水も買いました!
社長:さすがですね。バラの香りは苦手という人もいますが、クルジャンのものは透明感がある香りなので好まれる人が多いと評判ですよ。
石井さん:そうだったんですね。よく聞く、透明感とかパウダーっぽいとか、香水の表現は難しいなと思うんです。その表現が理解できないうちは、人から紹介されたとしても実際に嗅いでみないと好みの見極めが難しい。
社長:たしかに表現がワインと同じで難しいですよね。ぜひ、フレグランスのカウンターなどで説明を受けながら香水を見つけて欲しいなと思います。
石井さん:あと、若いときに好きだった香りが、年齢を重ねて今付けると、若すぎてイメージではなくなっていることもあって……。好きな香りも年齢と共に変わっていくと実感しました。自分だと好みで選びがちなので、カウンターで説明を受けながら知るというのもよいですよね。
社長:似合う香りが分かれば、自分でも選べるようになると思いますよ。
石井さん:自分が好きな香りは大切にしたいですが、心や体調、年齢とともにつける香りを変えていくというのは、自分と対話するきっかけにもなります。今の自分と向き合い、香りをひとつの表現方法として取り入れて、これからも香りと深く繋がり楽しんでいきたいと思います。大好きな香水についてお話できて、とても楽しかったです。ありがとうございました!
「クロエ」、「グッチ」などファッションブランド由来の
フレグランス「ファッションフレグランス」と呼ばれるものに対して、
最近話題なのが香水を主軸に展開する
ブランドのフレグランス「メゾンフレグランス」。
ブランドの世界観を表現するため、
香料の選定にこだり抜き価格帯もリッチなものが揃います。
トレンドを追うのではなく、香りを纏うだけで洗練した印象を引き出してくれるので、
まさに大人のための香りです。
PARLE MOI DE PARFUM
パリの小さなショップから生まれた世界的名香を手がけた調香師がつくる香りという噂を聞きつけ、さっそくデパートへチェックに。名前の由来が記憶やイメージを喚起すると言われ、専属調香師のミシェル・アルメラックが生み出すフレグランスは気分やシーンによって使い分けたいです
MAISON FRANCIS KURKDJIAN
海外のホテルのアメニティで出会ったのがメゾン フランシス クルジャンです。透明感があって、心地よくつけることができるところが気に入っています。ユニセックスで身につけられる香りが多いので、パートナーと一緒に身に纏ってほしいブランドのひとつですね
撮影/平井敬治<人物>、石澤義人<静物> ヘア/SATOMI(cheka.)
取材・文/高橋奈央 デザイン/瀬尾侑平 協力/AWABEES
*記事内の商品金額はすべて税抜きです。
<商品のお問合わせ先> ブルーベル・ジャパン0120-005-130