サロンのオーナー･美容家として、仕事に邁進していた30代。睡眠時間が短い日が続いても支障なく、徹夜も余裕でした。特に意識していたわけではありませんが、気がつけばショートスリーパーに。ただ、知らず知らずのうちに疲れは溜めていたのだと思います。仕事を終えて家に帰ると、たとえばメークは落としても、パジャマに着替えられなかったり、ソファで寝ていたり……。コートを脱ぐ気力もなく、気がついたら朝だったということもありました。あの頃は時間がとにかく足りなくて、寝るのが惜しかったし、睡眠時間がもったいないとも感じていました。

けれど徐々にしっかり睡眠を取らないと、次の日の活力や肌の調子に響くようになってきたのです。それに加えて、若いころは許されても、大人の睡眠不足は眠れないほどの何か良からぬことがあったんじゃないか、夜遊びしていたんじゃないかと、マイナスイメージにも繋がってしまうことに気がついたのです。何より、良質な睡眠がとれていれば、自然と元気に、笑顔で過ごすことができます。それが豊かなコミュニケーションにも繋がると感じるようになりました。

今まで二の次にしていた睡眠ですから、どうしたら積極的に“寝よう”と思えるのか。まずは眠る環境を整えるべく、ベッドのリネンや枕カバーから、自分が纏うものも着心地･肌触りのいいものに変えていきました。すると、次第に「早く着替えてリラックスしたい」と思えるようになってきました。他にも、以前は湯船にゆっくり浸かることもままならず、シャワーで済ますことが多かったお風呂の時間。ですが、睡眠を第一に考えるなら、ゆっくり湯船に浸かる時間は疲れや老廃物を流すために必要です。交感神経から副交感神経へ切り替えが大切であることも身をもって学びました。
こうして、私にとって睡眠は明日も笑顔で過ごすために、疲れをその日のうちにリセットするものになったのです。睡眠不足では集中力も散漫になり、余裕もなくなり、きちんと相手に向き合えないこともあると思います。豊かなコミュニケーションを目指すならば、なおさら自分自身がベストコンディションであることが大切。そうすることで人に優しくなれたり、積極的になれたりするのではないでしょうか。