You Tube登録者数28万人女医が教える!タブーじゃない!人生100年時代の性交痛対策
人生100年時代。1945年頃の平均寿命は60歳ほどでしたが、今や一気に寿命は延びて100歳までも視野に入れられるようになりました。けれど、その間に社会も大きく変わり、過去の世代とは異なる新しい価値観が必要になってきています。
美容や健康への意識も高まり、性の価値観も変わりつつある今、自分らしさを追求する方も増えてきていますが、一方で親世代も体験したことのない寿命を目前にして、未来は未知数。
だからこそ、誰もが体験したことのない時代を健やかに生きていくために、正しい知識を得たいもの。
今回は、SNSや講演、メディアでセクシャルウェルネスなど女性性について啓発し続けている医学博士 富永喜代先生に、著書の『性のトリセツ』(KADOKAWA)の中から、大人世代の女性の多くが悩んでいるという“性交痛”について教わりました。
セックスはもちろん、性交痛のお悩みは恥ずかしいことではありません。もちろんセックスの必要・不必要も個人によってさまざまで、押し付けるものではありません。今回は、自分の体について、セクシャルウェルネスについて、もっと知りたいと思う方々への一助になれたら、と思います。
お話を伺ったのは……
富永ペインクリニック院長 富永喜代先生
医学博士。日本麻酔科学会専門医。1993年聖隷浜松病院などで麻酔外科医として勤務。2万人超の臨床麻酔実績を持つ。2008年愛媛県松山市に富永ペインクリニックを開業。全国から患者が集まり、のべ23万5000人の痛みを治療し、性交痛外来では1万人のセックスの悩みをオンライン診断する。
今まで聞けなかったような性のお悩みにズバリと切り込み、正しい知識を与えてくれるYouTubeチャンネル「女医 富永喜代の人には言えない痛み相談室」は登録数28万人、総再生回数は6500万回を超え。SNSのフォロワー数は42万人と今や目が離せないセクシャルウェルネスの中心的医師です。近著に『死ぬまで「性」を愉しみ尽くす本』(永岡書店)など。
大人世代の「セックス」をタブー視しないで!でも、するかしないかはあなた次第
「“性交痛”のお話をする前に、大前提として、私はセックスを推奨しているわけではなく、したい人はできる方法はあるし、したくない人はしなくてはいい。そんなスタンスでいます。
健康寿命とともにセックス寿命を延ばしたいと願って、美容医療もそうだけれど、フェムケアやフェムテックを取り入れてもいい。さらに、昔のようにタブー視されることでもないと思っています。
本にも書きましたが、性交痛は加齢に伴い起こる自然現象。女性ホルモンであるエストロゲンが急激に減少することが原因で起こるGSM(閉経関連尿路生殖器症候群)という新たな概念のひとつに位置付けられています。尿漏れや頻尿も同じくGSMのトラブルですが、最近、テレビや雑誌などメディアでよく見かけますし、その対策グッズも増えて市民権を得ているなと感じています。
一方で、性交痛を口にするにはまだまだハードルが高いですよね。でも、恥ずかしいことでもおかしいことでもありません」
起こりべくして起こる “性交痛”と女性ホルモンの関係
「私のYouTubeを見て、性交痛について、『こんなことがあるの!?』『セックスは一生できるものだと思ってた』というような声が届きます。
ですが……。使わなかったら、生きているだけで劣化します!
60代の女性が離婚して、久しぶりにセックスしたら痛くて入らなかった、なんて話はよくあること。でも富永ペインクリニック調べでは、ほとんどの方が性交痛自体を知らないんです。
加齢と共にエストロゲンが低下して、腟内の粘液分泌能力が低下することは普通のこと。腟萎縮が起こって、腟の直径が狭くなったり硬くなったり、粘膜が伸びなくなってくるのも普通のこと。
今の40代、50代のいわゆる更年期に差し掛かる人たちは忙しいので、夫婦仲が良くても、セックスレスな時間があるのもわかります。でも、セックスもせず、セルフプレジャーもせずでいたら、腟は乾燥して萎縮していくんです。
1週間に1度くらいはセックスやセルフプレジャーをして、デリケートゾーンの血流を保つことや、潤いなどのデリケートゾーンの健康度を自分自身でチェックしてほしいと思いますね」
セルフプレジャーやセックスは最高のヘルスケア
「私の言いたい一番革新的なキモなんですが……。セルフプレジャーは性欲の延長にあると思わないでくださいね。
セルフプレジャーは自分自身の不眠、不安を解消して、自分の身体を整えるヘルスケアです。
セックスは他人の力が必要だけど、セルフプレジャーは自分のタイミングで、健やかなオルガズムが得られて、ストレス解消もできるし快感ホルモンが出てくる。自分を癒すツールなんです。しかも性交痛の予防にももちろんいい。自分のヘルスケアに直結する、自分の健康を守る行為です。
だからこそ、話は戻るけれど、セックスもセルフプレジャーもいやらしいことではない。ただ、したくなければしない選択もある。そう思っています」
パートナーと一緒に向き合いたい。大人世代が抱えがちな性交痛の種類
「“性交痛”といっても痛みを感じる部分はさまざまで、女性側だけの問題ではないことも多いです。もともとの濡れやすさや濡れにくさは個人差がありますし、パートナーのペニスの大きさや女性の腟の大きさも個人差がある。それで痛むというのは何となく想像できると思うんです。
けれど、一度痛みを感じると、『また痛かったらどうしよう』と不安を感じ、交感神経が不活化して、ますます濡れなくなるし、筋肉が硬くなるから挿入も難しくなります。脳が「セックス=痛い」とインプットすると触られただけで緊張して痛いということもあるんです。
痛みには3種類があって、だいたい“性交痛”はこの3つが重複することが多いですね(下の図)」
「侵害受容性は、傷や炎症に関わるもので、腟が萎縮や粘膜が薄くなって摩擦に弱い状態で、乱暴に扱われると腟内に傷がついて痛くなること。
神経障害性は、何らかの原因で神経が障害され、それによって起こる痛みで、長年にわたり強すぎる摩擦や刺激を与えられているとその部分の神経が代わり、痛みを自分の脳の中で倍増してしまう、増強してしまう痛み。
痛覚変調性は、痛みへの恐怖や不安、怒りストレスといった社会心理的な要因が大きく関係しています。
これらを治すと思うなら、医師に相談したり、カウンセリングを受けたりするというのが選択肢。本気で治したいと思うんだったら、カップルで一緒に向き合うというのがポイントです。
痛みというものは目に見えません。だから共感を得られにくい。わかってもらえにくく、1人で抱え込みやすい。でも抱え込まずに医師などに気楽に相談するといいんです。恥ずかしいことではありませんから!
富永ペインクリニックでも行っていますが、オンライン診療というものもありますからね。」
富永ペインクリニック オンライン診療の予約はこちら↓
https://clinics-app.com/clinic/5c9203ecb15b8c2c205151e3
痛みを緩和する性交痛対策&マッサージ
「特に『病気ではないけれど』とか、『病院に行くほどでもないけれど』というお悩みの段階では、セルフケアってすごく重要なんです。ケアすることで痛みや違和感を和らげることができますので、ぜひ毎日に取り入れてほしい。
更年期女性に有効なセルフケアとして2つのマッサージ方法もお伝えしておきますね」
|下半身を温めるマッサージ|
毎日のお風呂上がりにエストロゲンの有用成分「エストラジオール」が含まれた美容オイルでマッサージします。
富永先生開発!エストラジオール配合オイル「デリケートモアモイスト ゴールドエッセンス」(¥17,200(税込)/30ml)はこちらから購入可能です
①恥骨からおへそ、脇腹に向かって下から上に優しくマッサージ
②太ももの付け根をぐるっと内から外にマッサージ
③膝から太ももの付け根まで、太ももの内側をギュッと押し上げるようにマッサージ
|腟、外陰部のマッサージ|
こちらも「エストラジオール」が含まれたオイルやジェルを使います。
<外陰部>
①大陰唇は下から上にマッサージ
②小陰唇は、外側(大陰唇との間)と内側(腟との間)を人差し指と中指で挟むようにすると栄養が行き渡りやすい。
③会陰部はオイルを塗って左右に指を動かしていく
<腟の内側>
ジェルを使って、会陰部から腟の中をマッサージ。ふぅー吐息を吐いて、腟を締めるイメージで腟内に負担をかけながら筋トレしていく。上、側面、下の会陰側と圧を加えるように和らげていく
「性については悩むことも多いですが、解決する方法はありますし、悩むことはおかしなことでもありません。かといって、セックスやデリケートゾーンケアを絶対しなくてはいけないということではありません。ただ、老年期までの健康を考えたときに一助となりますし、何らかのセルフケアを行なっておくとQOLも変わるはずです。できることから、気になることからはじめてみるのもいいと思います」
見逃さないで! 性交痛が病気のサインという可能性
「今回、性交痛についてお話をしましたが、子宮内膜症や性感染症などの婦人科系の疾患が痛みを招いていることもあるんです。ほかにもエストロゲンの低下によって関節が硬くなり性交痛を起こしやすくなることもありますし、膀胱炎や腸炎、腰椎椎間板ヘルニア、坐骨神経痛、心理的要因などが原因のこともあります。
なので、一概に性交痛と思い込まず、濡れているけれど痛い、痛みが非常に強いという時は、すぐに診療を受けることも大切です」
24万人の性の痛みや悩みを解決した富永先生による秘密の処方箋がまとまった1冊。先生が、初めて「性と健康」にフォーカスした本です。
加齢によるホルモン変化、更年期を和らげる方法、痛み・ニオイ・セックスレスの処方箋、自宅でできるデリケートケアetc. 人生100年時代、喜びを諦めないためにぜひ読んでみて!
『女医が教える性のトリセツ』
(KADOKAWA) ¥1,430
Amazonをチェック