植物療法士・フェムケア第一人者の森田敦子さんが『潤うからだ』を出版してから6年。今やフェムテックは年間約２兆円の経済効果が期待され、一大産業として発展。けれど、積極的に腟ケアをデイリーに取り入れている人はまだまだ少ないと森田さんは語ります。

自分の一生を通じて、自分の体のことに見て見ぬふりをしない。こころもからだも女性という性を大切に慈しんでほしい。そんな森田さんの想いが新著『私のからだの物語』(ワニブックス)には詰まっています。

今回は、この本の中から私たち大人世代が向き合うべき、アラウンド更年期のからだの変化や腟まわりのケアについて伺いました。

お話を伺ったのは……

植物療法士　森田敦子さん
日本における植物療法と性科学(フェムケア)の第一人者。サンルイ･インターナッショナル代表。アンティーム オーガニック創設者。フィトテラピーが日本に根付く20年以上も前に、パリ13大学医薬学部で植物療法を学ぶ。帰国後は植物バイオ研究に関わり、数々の賞を受賞。また、AMPPフランス植物療法普及医学協会認定校「ルボア フィトテラピースクール」の運営に着手するなど、植物療法の普及に努める傍ら、人生100年時代を見据え、産前産後や介護の現場を通じて女性の健康をトータルにサポートする可能性を探求。「森田敦子のLove your life」をPodcast、spotifyで毎週日曜に配信。Instagram：＠atsuko1705

プレ更年期と呼ばれる35〜45歳とは全然違って、50歳を挟んだ前後10年間の更年期^＊の女性のからだは確実に衰えます。女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンの働きがストーンと落ち、からだのバランスが崩れ、さまざまな女性疾患の諸症状がからだに現れてきます。
＊更年期は閉経を挟んだ前後10年間を指し、年齢は個人差があります。

だから、肌の老化や薄毛、白髪などのエイジングサインをケアするのと一緒で、腟まわりもケアしてあげないといけないんですね。特に、見ない、触らない、触れない、知らないというふうに腟まわりのケアをしてこなかった方々は

・歩いているだけなのに腟まわりが擦れて痛む
・おしっこが放射状にあちこちに飛び散ってしまう
・くしゃみでおしっこが少し漏れてしてしまう

というような症状が出てきてしまいます。腟まわりの筋や筋膜が全体的に老化へ向かっているということです。ただ、これを放っておくと、子宮脱や内臓下垂になってしまうんですね。今、80代の３人に1人がそのような悩みを抱えているのですが、その出発点がプレ更年期と言われていますので、まだそこまで変化を感じていらっしゃらない方も今すぐケアをはじめていただきたいなと思います。

今から腟まわりのケアを行なっていないと、60歳以降の老年期にもっと大変になるという話も皆さんにはぜひ知っておいていただきたいんです。

人生100年時代の今、日本では2人に1人が癌になると言われていますが、介護される側になるとおむつの着用率も上がります。

もう13年になりますが、植物療法士として、毎月、広島にある医療法人社団「八千代会」の介護施設に伺い、植物療法を用いたケアについての研究やスタッフへの指導をさせていただいています。その中で目の当たりにするのは、おむつが外せなくなることで自尊心を保つのが難しくなるという現実。

トイレを我慢する必要がなることで、尿も便もオムツの中でするようになります。すると腟まわりへの意識が低くなります。その状態が続くととても悲惨な状況に。便にが酵素成分が含まれていますので、皮膚を溶かし、やがて褥瘡(じょくそう)へと広がっていきます。そしてその悪化した状態で腟を蒸しタオルで拭くとますます乾燥は進み、さらにトラブルが発生するという悪循環に陥ってしまうケースを多く見てきました。

他にも、アンダーヘアに尿や便がつき、皮膚に付着。それで腟まわりがただれ、血がにじんでいるケースも。また骨盤底筋のゆるみなどが原因で腟から内臓がどろーんと出る内臓下垂になっている方も多くいます。
また、排便をおむつでするようになると、便のニオイが自分の内側から出てくることも。これがすごく生きる気力を削いでしまうのです。

そんな状況下で、下のお世話をご家族や介護士にしてもらうことを、“恥ずかしい”、“申し訳ない”という後ろめたさが生まれ、繰り返される腟まわりの痛みなど耐え難い状況が続きます。すると、人は尊厳を守るために、少しずつ認知症を進行させていくと言われています。

怖いですよね。けれども、今から腟周りのケアを習慣にしていけば、たとえおむつを履くことになったとしても、もっと快適に過ごせるはずです。腟まわりが潤っている状態を作っておくことは今も、そして今後もとても大切。

そしてもう一つ。感じることも大切です。一番はいくつになっても普通に恋してセックスをして、女性としての生き方を謳歌してほしいですが、そのようなお相手がいないときは、セルフプレジャーに頼るのもいいかと思います。膣を放置していると脳が「いらない臓器」と判断し、必要な機能も低下してしまいます。なのでセルフプレジャートイを使って、膣の奥の可動域を揺らして、外陰部や仙骨を温め、潤い不足を解消するといいんです。バイブレーターを腟の中に入れて、揺らし、快感を得るというのは若い方だけの話ではありませんし、セックスも精子を出すところまで辿り着かなくてもいいんです。いつからでも遅くありません。気持ちも高揚させて腟を潤わせましょう。

『私のからだの物語』では、そんなお話をさせていただき、またヨーロッパと日本の性やケアに対する意識の違いなども書かせていただいています。

[INTIME ORGANIQUE]バーシングオイル　11,000円(税込)
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アンティームから出しているこの「バーシングオイル」は、私がヨーロッパで得た知見を取り入れて開発しています。顔に使ってもいいほど上質なオイルで保湿力の高いアイテムです。

アプリコットやマンゴー種子などを使っていて、これがすごくポイントになっています。種の中からオイルがたくさん取れるのですが、その中でも種子の真ん中にある核油のみ使っています。それはオイル成分や粘度、抗酸化力を考えると肌との親和性がとても高いからなんです。腟まわりを保湿するという意味ではローズローションのようなジェルもあります。ジェルはトロトロとした水溶性で肌との摩擦を和らげますが、大人の進んだ乾燥を考えると親和性が高く、粘液に混じるバーシングオイルがオススメですね。

本の中では、そのほかにも腟の潤いを保つための生活習慣の方法や、黒ずみ、冷え、性交痛など大人世代が抱えるトラブルの解決策や子供たちの自尊心を育てる性教育の話、幸せな性生活、更年期のこころとからだのトラブルについても盛り込んでいますのでぜひご覧くださいね！

[INTIME ORGANIQUE]アンティーム　オイル&ウォッシュキット
11,550 円(税込) ←13,200円(税込)
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恥垢という腟まわり特有の汚れを落とすには、腟まわりのpHが3.8〜4.12だからそれに合わせないといけないと思っていらっしゃいますが、恥垢はねっとりとしていて落としにくいため、ある程度のpHは必要なんです。

アンティームの「フェミニンウォッシュ」はその点も考慮して、洗浄後、少し経つと元のpHに戻るような特殊な設計にしています。潤いを守りながら、腟まわりの気になるニオイやかゆみのもとである恥垢をすっきり洗い上げます。

INTIME ORGANIQUE]アンティーム　オイル&ミストキット
11,550 円(税込) ←13,200円(税込)
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日本もかなり温暖化が進み、夏は特に腟まわりもムレやかゆみが出て、炎症を起こしがちですので、アンダーヘアの脱毛やプラスアルファのケアをオススメしています。

大人世代は乾燥が進み、細菌が繁殖しやすく、ニオイも気になりますよね。なので腟まわりを潤わせて、常に清潔さを保つことが大切です。夏は特にトラブルも発生しやすいので、デリケートゾーン用のエチケットミストを持ち歩いて、トイレに行くたびに使ってほしいなと思います。

アンティームの「フェミニン ミスト」は、気になるニオイ^＊やムレを、すっきりリフレッシュするような清涼感を与えるエチケットミストです。ベタつかずさらっとした使用感で、外出時や生理時の不快感が気になる時にも、シュッとひと吹きで清涼感を与えてリフレッシュ。ワキやボディにもお使いいただけます。

お風呂に入れない災害時のケアにも良いので、避難グッズのなかにもぜひプラスしておいてください。
＊精油の香りによるマスキング効果

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植物療法士・フェムケア第一人者の森田敦子さんが贈る、今、女性が絶対に読んでおきたい、何歳からでもできる「性の学び直し」。

小さい子どもをもつママのための性教育の話、妊娠・出産・子育て時期に健全な感じるからだをつくる方法、更年期のツライ時期を乗り越えるためのからだとこころの運び方、そして、理想の老年期の話を展開。

「あなたのからだの物語」を紡ぐためのヒントがたくさん詰まっています。

撮影／石澤義人